洋書を読む読書会

オンラインで読書会をしています

7回目の結果(Frankenstein in Baghdad,心を動かす英会話のスキル,The Happiest Man on Earth)

f:id:nobirunoji:20211101200629j:plain第7回の概要

日時 日本時間で10/27(水)夜
場所 LINEを使ってオンライン開催
参加者 3名

 

いつの間にかすっかり涼しくなり、コロナもずいぶん減り、このまま2021年は終わっていくのか?という10月下旬、通算で7回目の読書会を開催しました。

今回の参加者は3名、いずれも前回に続いての出席です。
・私
・Yさん(ビザを更新して再びアメリカに)
・Lさん(台湾出身)
これまで皆勤賞のAさんは今回は都合によりお休みでした。残念!

それでは今回の概要を発表順にまとめていきます。

 

☆☆☆

 

1.私の持参本 Frankenstein in Baghdad(写真左)

①本の概要

イラク人作家アフマド・サアダーウィーがアラビア語で書いた小説。の英訳。
自爆テロの続くバグダードで、テロ被害者の遺体を縫い合わせた怪物が生まれた。
(タイトルの「フランケンシュタイン」はここから)
怪物が暗躍するバグダードを舞台に、そこに暮らす人々、ジャーナリストたち、怪物を追う謎の政府機関などの人間模様が描かれる。
バグダードのフランケンシュタイン」のタイトルで邦訳もされている。

 

②やりとり

私)バグダードという馴染みのない都市が舞台で、登場人物の服装とか街並みとか食事とかのビジュアルがまったく想像できなかった
みんなは小説を読むときに脳内で映像化する?

L)自分は特にしないような気がする

私)映像化まではしなくても、物語だから場面を想像しながら読む必要があって、よく知らない外国の小説なんかだとそれが負担になることもある

Y)有名人の伝記だったらその人が成功していくという大きな流れが分かるけど、小説は先が読めないから難しい
だから伝記とかビジネス本とかの方が入り込みやすい

 

私)イラクの小説なのに登場人物にキリスト教徒がいたり飲酒のシーンがあったりして意外だった
調べたら、イラクにはシーア派イスラム教徒が多いものの、スンニ派少数民族クルド人キリスト教を信仰するアッシリア人などもいる多民族国家らしい
そういう複雑な背景を反映して、この小説でも最後に何か問題が解決するわけではなく、バグダードの混沌は続いていくという描写だった

Y)話そのものは面白かった?私たちにもおすすめできる?

私)エンタメ作品じゃないから派手なクライマックスだのカタルシスだのは無い
でもブッカー国際賞の最終候補になっただけあって、登場人物は多いんだけどそれぞれの心情や関係性が丁寧に書かれている良い小説だったと思う
ただ、英訳だと人名の正確な発音が分からないから、カタカナで発音が分かる日本語版を読んだ方がいいかな(笑)

 

2.Lさんの持参本「心を動かす英会話のスキル」(写真右)

①本の概要

依頼や誘い、断りなど12の場面でそれぞれ50人のイギリス人とアメリカ人の言葉遣いを分析した本。
洋書ではありませんが、Lさんから
「日本人は英語でしゃべる時どんな気持ちで丁寧な言葉を使っているか」
「外国人の日本語敬語表現をどう理解するか」など、
外国人との敬語でのコミュニケーションという興味深いテーマを提案されたので、今回の読書会で紹介してもらうことにしました。

 

②やりとり

L)最近、日本語の敬語の使い方を勉強していて、他の言語の敬語表現のことも知りたくなった
本書の作者とはオンラインで話したことがあったから、その興味から読んでみた
この作者はアメリカとイギリスに留学していたので、アメリカ人とイギリス人の敬語の使い方の違いなどを詳しく説明している
自分の勤め先では外国人のお客さんが来ることがあるから、どう対応したら失礼にならないか考えている

Y)ネイティブに言われて初めて失礼な表現だと知ったこともある
Why did you come to US ? は責められているようなニュアンスがあるから
What brought you to US ? の方がいい…とか

 

L)アメリカの職場では、みんな上司にはどんな風に接している?

Y)日本だったら上司にものをいうのを遠慮してしまうけど、アメリカでは上司の方が「もっと言ってこいよ」みたいな姿勢でいる
上司からも、日本だったら遠回しに指摘する場面で「こうやらないとダメ」とはっきり言ってくる
ただ、ミスを指摘された部下も、謝罪とか釈明とかせずに「やっちゃったものはしょうがないじゃん」という態度をとることが多い

L)日本人はすぐ「すいません」とか「ごめんなさい」って言うね
自分は悪くないのにとりあえず謝罪している気がする

Y)通路でぶつかっちゃったみたいな状況ならアメリカ人でも謝るけど、仕事の場面では謝らない
謝罪すると責任を認めることになっちゃうから

 

Y)文化の違いといえば、接客の丁寧さも日本と外国では違うと感じる

L)日本っぽいと思うのが、レジの店員が「お渡ししますね」や「袋に入れましょうか」みたいに、実際の行動をとる前に一言声をかけてくるところ
外国だといきなり渡してきたりするから

 

3.Yさんの持参本「The Happiest Man on Earth」(写真中央)

①本の概要

アウシュビッツ強制収容所、そして「死の行進」を生き延びた筆者が、どんな状況にあっても人間性やモラルを失わず生きる大切さを説いた本。
アウシュビッツからの生還後、ドイツの土は二度と踏まないと決めオーストラリアに移住。自分自身を世界で一番幸せな男としている。
今年7月には「世界でいちばん幸せな男」として邦訳も出されている。

 

②やりとり

Y)アウシュビッツの生存者が高齢になってきている
この人もずっと沈黙していたが、最近話すようになってきた
アウシュビッツで父母を失った悲痛な経験や子供が生まれて感じた心境の変化など、家族に対する思いについて書かれている
日本は核家族化などで昔ほど家族のつながりが強くなくなっていると思うが、台湾人の家族観はどう?

L)台湾では「親しい人には礼儀はこだわらなくてよい」みたいな諺がある
日本では逆の言い方をするよね

Y)確かに、家庭内でもみんなの気持ちを汲んで、あれもやらなきゃこれもやらなきゃみたいなことがあるかな

L)日本では子供も家事を手伝うと聞いたが台湾ではそんなことはない
お母さんのやることだという認識

Y)それが日本だと「女子力」とかいって、女性に仕事や勉強だけでなくご飯を作れる能力なんかも求められている

L)それが中国だと彼氏が彼女に料理作ってあげるんだよね
「女の子に料理させると手が荒れちゃうから」みたいな価値観
韓国人と話していたら彼女の足を洗ってあげると言っていたことに驚いたけど、ドラマでも見たことがある
そう考えると、日本では男性の方が立場が上なように思う

 

Y)日本もドイツのように戦時中の行為について他国から責められることがあるから、外国人と歴史問題について話すことは難しい

L)台湾ではそうでもなかったが、本土の中国人や韓国人の前で日本の植民地支配の話をしたら関係が悪くなったことがある
私は大学で歴史を学んでいたから本当はそういう話もしたかったんだけど
一方、日本ではみんなあまり歴史に関心がない気がする

Y)学校の授業では先生の話を聴いているだけで議論がなかったから、学校のみだと自分の考えが身につかないんだろうね

 

☆☆☆

 

大筋だけを文字にしてみたところ、後半は私が発言していないようなまとめになってしまいました。
ちょっとは喋ったんだけどな。泣。

やはり生きたコミュニケーションや異文化体験に関する経験談だと、海外暮らしや外国人の視点がある人が強いですね。

だから私も海外生活しなきゃ!とは言わないけど、海外旅行くらいはしたいものです。
早く世界中でコロナ収束しないかな~
(日本も油断できないけど)