洋書を読む読書会

オンラインで読書会をしています

6回目の結果(Digital Social Innovation to Empower Democracy)

f:id:nobirunoji:20210823220955p:plain

第6回の概要

日時 日本時間で8/20(金)夜
場所 LINEを使ってオンライン開催
参加者 4名

 

前回から半年たちましたが、このたびようやく6回目を開催しました。
今回は新たに1名の参加者が加わりました。
また、今回はメンバーがそれぞれ本を紹介するのではなく、ひとつの動画をテーマに話し合うという初めての方法での開催でした。

それではさっそくざっくり概要をまとめていきまーす。

  

1.参加者 

まずは前回からの参加者が3名。
・私(さいきん引っ越した)
・Yさん(アメリカからビザ更新のため一時帰国中)
・Aさん(さいきん家を建てた)

うーん、全員バタバタしていたので前回から期間が空いたのもしょうがないね!😂

 

そして今回の新たな参加者がLさんです。
Lさんは台湾出身で現在は日本企業に勤務、韓国と中国本土に滞在経験もあるマルチリンガルです。

 Yさん、Aさん含めメンバーの中で私だけが英語を喋れないのですが、みんなが優しいのに甘えて今回も会の進行はバッチリ日本語で行いました。みんなありがとう😂

 

2.テーマ

今回は久々の開催であり、初参加のLさんもいたので、いつものように各自が読んだ本を紹介する方法はやめました。
その代わりに課題となる動画を選んで、当日はそれを見た感想を話し合うことにしました。

 

選んだ動画はこちら

Digital Social Innovation to Empower Democracy | Audrey Tang | TEDxVitoriaGasteiz - YouTube

台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンがTEDでスピーチしたときの動画です。
2019年の動画なのでコロナ前、まだ日本では今ほど有名ではなかった頃ですね。
でもこの時点で大臣になって3年目、ユニークな取組ですでに多くの成果を出していることが紹介されています。

そんな動画を題材に、オードリー・タンという人物、台湾と日本のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の差、新しい政治のあり方などについて話し合いました。

 

…こう書くとなんかすごく意識の高い集まりみたいですね。
期待してもらったら申し訳ないのですが実際に話し合った内容はフツーの感想です、ということを次にまとめます。

  

3.話し合いの概要

 私)Lさんはオードリー・タンについてどう思う?

L) あまり台湾のニュースを見ていないので実はよく知らない(笑)
名前は台湾の人っぽくない
確か改名したと聞いたことがある
(注:調べたところ「唐 宗漢」から「唐 鳳」に改名したらしいです)

 

私)動画を見て感じたのは、デジタル化は手段であって目的じゃないということ
この人がめざしているのは政治の透明化と市民参加で、それを可能にするのがデジタル技術なんだと理解した
最近「デジタル化で業務を効率化しよう」みたいな文脈でDXという言葉を聞くが、台湾がめざしているのはそんなレベルではないみたい

 

Y)オードリー・タンが台湾の大臣になったのは35歳の時と聞いた
それまで政治に関わっていたわけでもない若い世代が大臣に抜擢されてDXに取り組めるのがすごい
台湾のイメージが変わった
それと比べると日本はコンサバというか、新しいものを取り入れないよなーと思う

 

Y)オードリー・タンの思想は無政府主義という印象
大学で学んだ「政治」とは全く違う
投票で選ばれた政治家が政策を決めるのではなくて、有権者が政策形成に直接参加するという方法
民意をどう反映するかの新しいモデルを示している

 

A)私はさいきん異動して、それこそ社内のDXを担当する部署にいるんだけど、そこのトップを社外から雇っている
その人もこの大臣のようにITの分野で起業したりいろんな経験をしているが、そのぶん一般的な日本の組織の感覚が分かってもらえない
言っていることはもっともだけど制度やルールがあるので難しい事情があり、そのハードルを理解してもらえないのが現状

 

L)私としては、このような人物が世界で活躍しているのが台湾の誇り
「台湾」と書いたTシャツを着て公の場に出ることもあり、そういう主張をすると中国からも文句があるだろうが、本人も台湾人の誇りがあるからあえてやっているのだと思う

 

私)政治の経験がない人が30代で大臣になれたのはなぜだか知ってる?

L)自分もよく分からない
台湾で政治家になろうとしたら、政治家の家系でない限りは政党に入って政治機関で働いて…というふうにキャリアを積むのだが、この人は政党に入っていないはず
与党の民進党がこういう人材を探していて、それで引き上げられたんじゃないか

 

A)日本でもデジタル庁が9月に発足するが、まだトップは決まっていない

Y)どんな人がなるのかな
トップにどんな人が就くかがすごく重要になるだろうね

 

Y)台湾は政府に対する信頼は厚い?

L)そんな気がする
私の父は民進党支持者だが、政策というより党に対する支持
若者の方が政策をしっかり見ている
今の政府はコロナ対策をしっかりしているから大丈夫だと思う
二大政党(国民党と民進党)の政策は全然違っていて、国民党支持者は自分も中国人だと思っている
だから他の国とは政党支持の意味が違うかも
香港でも独立派と親中派があるけどね

 

私)ITの分野ではアメリカが最先端というイメージだけど、アメリカに住んでてどう感じる?

Y)アメリカはもちろんIT先進国だけど、大統領選ではずっと選挙人制度を維持しているし、最後の党首討論での演説合戦がすごく重要だし、そこにアメリカ人の魂を感じる
去年の大統領選でも郵便投票が問題になってたけど、伝統的な方法から変える気はないのかな
意外とアメリカは最後まで伝統的なやり方を残すんじゃないかって思う

 

私)じゃあ民間企業はどう?アップルとかテスラとか独創的なIT企業があって、政治の世界とは感覚が違うと思ってるんだけど

Y)私が働いていたのは弁護士事務所で、アメリカの中でもかなり保守的な業界だけど、それでも日本よりは進んでると思う
裁判所も全部電子化して、電子署名とかできるようになっている
ただ、それでも想像の範囲内で、日本もこれくらいやってほしいよねっていうレベル

 

私)Lさんは台湾、韓国、中国の状況を知っているけど、日本企業のデジタル化はどう見える?

L)中国で働いていたのは先端の大企業じゃなくて中規模の企業だったから、そこの経験から見れば日本も同じくらいの印象かな

 

Y)この10年くらいで日本の立ち位置が悪い方に変わって来たと感じる
オードリー・タンみたいな人が重要なポストにいるかどうかで言うと、全然だめ

L)台湾のサイトでも「日本のIT企業は待遇が良くない」と記事になっているのを見た
台湾でもIT業界だとジョブ型雇用で給料が高い、なのに日本だと年功序列だからみんな同じ給料…みたいな
特にIT分野ではスキルがあれば年齢関係なく仕事が選べるから
それと外国人にとっては日本語喋れなくても働けるので、外国企業との人材獲得競争になってしまうよね

 

☆☆☆

 

ざっくりまとめるとこんな感じですが、ここに書いてないやりとりもいろいろあります。
個人的に凹んだのは、わが社のアナログっぷり(書類にハンコを押して本社に郵送して…)を紹介したらめっちゃ笑われたときです。
うむ、客観的に見るとヤバいよな、弊社のアナログっぷり😇

 

それと英語力のない私にとってYouTubeの字幕機能と再生速度の調整機能はチョー便利でしたね~
正直アジア人のオードリー・タンのスピーチでもあまり聞き取れなかったのですが、字幕オンと0.75倍速再生にしたおかげでなんか分かった気にはなれました。
それでも分からないところはありましたが(けっこうあった)、最後は文字起こしを読んでなんとか読解しました。

ありがとうデジタル技術!
わが社でもDXが進むよう私もできる範囲でなんとかしたいと思いました。まる。