洋書を読む読書会

オンラインで読書会をしています

5回目の結果(KARAMO, Nudging for Tax Compliance:A Meta-Anlysis, My Father’s Dragon)

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第5回の概要

 

日時 日本時間で2/2(火)夜
場所 LINEを使ってオンライン開催
参加者 3名

 

2021年最初の読書会、通算で5回目となりました。
参加者、開催時間、開催方法などは第3回第4回と同じです。(マンネリ?安定?)
今回それぞれの参加者が持ち寄ったのは自伝に論文に児童書と、いい具合にジャンルがばらばらでした。
それではさっそく、当日しゃべった順番に内容をまとめていきます。

 

☆☆☆

 

1.私の持参本 KARAMO(写真上)

①本の概要

ネットフリックスのリアリティショー「クィア・アイ」出演者のカラモ・ブラウンの自伝。
ファブ5(それぞれの得意分野で毎回のゲストを魅力的に変える5人のゲイ)の一人、カルチャー担当のカラモ。
彼がクィア・アイに出演するまでの半生を語る。

 

②やりとり

私)自分の本棚を見るとマジョリティの作者による本ばかりだった
具体的には
・女性よりも男性が圧倒的に多い。ましてLGBTQの作者は見あたらない
・作者の国籍も日本がほとんど。外国人作者はいても欧米ばかりでアジアやアフリカの作者による本がほぼ無い
ということで、普段だったら選ばないようなマイノリティの作者による本を選んだ

私)この人には、カトリック信者でありながらゲイで、黒人で、ジャマイカ系移民、という複合的なマイノリティ属性があり、日本社会でマジョリティに属する自分からは想像しにくい苦しみがあるんだろうなと思う 

私)このたびアメリカ大統領がトランプからバイデンに代わったわけだけど、トランプ時代はLGBTQへの風当たりは強かったのかな
A)トランプ大統領だからというか、その前からずっと共和党の州では生きづらそうだった
私のアメリカ時代の友達もLGBTQの人は多かったが今ではみんな民主党の州に住んでいる
中西部の保守的な州に生まれた友人などは、お母さんがカトリックなので親元にいた当時は親を安心させるために無理してガールフレンドを作ったりしたそうだ

A)私が通っていた大学は芸術系のところだから、男子学生は誇張ぬきに10人中7,8人がLGBTQって感覚だった
Y)マイノリティの方が日本人と仲良くしてくれるのかなって感覚はある
社会の王道を行くマジョリティの人たちは移民と仲良くする必要がないというか

 私)ドラッグ依存に苦しんだエピソードも出てくるが、タバコも吸わない健全な(?)日本人としてはあまりピンと来なかった
実際アメリカでは普通に蔓延してるの?
Y)私はこの年齢になってからアメリカに来たから周りでそういう話は聞かないけど、大学生とかすごくやっていそう
A)それは本当で、学生だとめちゃくちゃドラッグをやっている
私自身はぜんぜんやらなかったけど、煙草でいう受動喫煙みたいな状況には何回も遭遇して、マリファナなら匂いで分かる
ただ周りも無理には勧めては来ないけど
ニューヨークでシェアハウスを探したときも「私達みんな吸うけど大丈夫?」とか普通に聞かれた

 

2.Aさんの紹介論文 Nudging for Tax Compliance:A Meta-Anlysis(写真左下)

①本の概要

ドイツのミュンヘンにある経済研究所が出した論文。
45の研究成果(延べ約1,000回の実験結果)をもとに、国や地方自治体が税の徴収率を上げるための効果的な方法について統計的にまとめている。
最近、行動経済学の分野で、デザインなどを工夫することで消費者の行動を望ましい方向に誘導する「ナッジ」という言葉が流行っているが、この論文は、ナッジの観点から納税者に固定資産税をいかに自主的に払わせるかの実験結果を分析したもの。
どんな督促状を送ると効果的か、例えば「周りの人はみんな払ってますよ」という文面にすると効果があるか、などの分析をしている。

 

②やりとり

 A)職場の有志の勉強会で使うためにいま読んでいる
イギリスってナッジの分析の分野では先進的で、政府の研究機関が色んな論文を読めるポータルサイトを作っている
日本語ではそういった情報がないから英語で情報収集しないといけない
でも結局はグーグル翻訳に頼っている
昔より優秀になって、日本語としてかなり読めるようになった
Y)論文を読むときのグーグル翻訳の一番いい使い方は、まず翻訳させて分かりにくいところだけ自分で読むことだと思う
論文って一言一句読むものじゃなくて情報を取るものだから、その方が効率がいい
アメリカ人も同じで、こっちの弁護士も日本側の弁護士が書いてきた日本語をグーグル翻訳して「これで意味は合ってるか」って私に聞いてくる

Y)上の世代の人はそれが無い時代でやってきたから高いレベルに達していて、それはすごいことなんだけど、グーグル翻訳を使えばその時間を別のことに使えるのはありがたい

Y)英語だと斜め読みができないんですよね
読んでるようで読めてない
A)日本語だと漢字かな混じりだから漢字のイメージで覚えるのかも

 

3.Aさんの持参本 My Father’s Dragon(写真右下)

①本の概要

日本では「エルマーのぼうけん」のタイトルで知られる児童文学。
著作権が更新されていないため、こちらのサイトで挿絵も含めて無料で読めるそうです。

https://digital.library.upenn.edu/women/gannett/dragon/dragon.html

 

②やりとり

Y) Aさんが紹介したような論文とはまったく逆で、子ども向けの本って一つ一つの文章が欠けると分からなくなるくらい展開が詰まっている
無駄がなくて読んだ満足感がある
論文だけじゃなく文学作品にもそういうところがあって、無くても本筋に影響はない情景描写が付きもの
そういうのに限って語彙が難しい(笑)
A)論文でもアブストラクトだけ読めば取りあえず結論は分かるんだけど
論文って書き方のルールがあるから結論だけ書くわけにはいかない

Y)物語の終盤で、主人公がワニの背中を渡って川を横断しようとするところに他の動物たちが追ってくるシーンがあるんだけど、すごく臨場感がある
「ここで彼がこんな行動を取っている瞬間、あちらではこんなことが…」という状況をスムーズに説明する文章で、身近な表現として勉強になる
ただ、児童書なので、出てくる語彙が動物の名前とかで一般に使うような単語じゃない
児童書は多読にふさわしくないという意見も分かる

  

☆☆☆

 

だいぶ省略しましたが2021年最初の読書会はこんな感じでした。

オンライン開催に変更してから早4回、メンバーも進行方法も固定化してきているので次回は少しやり方を変えようかと思っています。
まだ具体的には決まっていないですが、洋画など英語の動画をあらかじめ見ておいて、当日はそれを題材にトークを展開するようなことを考えています。

(本当のところを言いますと、マンネリを避けるっていうのも変えたい理由の一つではありますが、最大の理由はみんな読んだ本のストックが尽きてきたからです。笑)